リフォームの打ち合わせや現場見学の際、職人さんや監督さんがこんな話をしているのを耳にしたことはありませんか?
「ここの壁、ちょっとふかしときましょうか」
「そうですね、配線もあるし、5センチくらいふかせば収まりますね」
初めて聞くと、「えっ? 壁を…蒸す(ふかす)? 肉まんか何かみたいに?」と、頭の中に「?」が浮かんでしまうかもしれません。
もちろん、現場で料理の話をしているわけではありません。この「ふかす」は、リフォームや建築において、空間をより良くするための重要なテクニックを表す言葉なんです。
今回は、知っておくと打ち合わせがちょっと楽しくなる建築用語「壁をふかす」について解説します。
「壁をふかす」=壁を厚くして、手前に出すこと
結論から言うと、「壁をふかす」とは、「今ある壁よりも厚みを持たせる」、あるいは「新しい壁を、元の位置よりも手前(部屋側)に作る」ことを指します。
漢字では「付加す」や「更す」などの字を当てることがありますが、現場ではひらがなで使われることが多い言葉です。
イメージとしては、今ある壁の前にもう一枚、新しい壁を重ねて作るような感覚です。そうすると、当然その分だけ壁が厚くなり、部屋の内側に出っ張ってきますよね。
これが「壁をふかした」状態です。
では、なぜわざわざ部屋を少し狭くしてまで、壁を厚くする必要があるのでしょうか?
なぜ壁をふかすの?実はメリットだらけ!
「部屋が狭くなるなんて嫌だ!」と思われるかもしれませんが、壁をふかすことには、それを上回るたくさんのメリットがあるんです。主な理由を3つご紹介します。
1. 「隠したいもの」をきれいに隠せる(配線・配管)
これが最も多い理由です。
例えば、コンクリートの壁にテレビを壁掛けしたいとします。でも、コンクリートの中には配線を通せません。そのままでは、テレビからコンセントまでの配線が壁の上をダラダラと這うことになり、見た目があまり良くありません。
そこで、壁を少しだけ「ふかし」ます。
元の壁と新しい壁の間に「隙間」ができるので、その隙間に配線や配管をきれいに隠すことができるのです。これで、見た目もスッキリとした美しい壁掛けテレビが実現します。
2. 部屋の性能をアップできる(断熱・防音)
「この部屋、なんだか寒い…」「隣の部屋の音が気になる…」
そんな悩みがある場合も、壁をふかすことで解決できることがあります。
壁をふかしてできた空間に、高性能な「断熱材」や「防音シート」を入れるのです。壁が厚くなることで熱や音の出入りが抑えられ、部屋の快適性がグッと上がります。
3. おしゃれなデザインが作れる(ニッチ・間接照明)
壁をふかすことは、デザインの幅を広げることにもつながります。
- ニッチ(飾り棚)を作る : ふかした厚みを利用して壁を部分的に凹ませれば、鍵や小物を飾るおしゃれな「ニッチ」が作れます。
- 間接照明を入れる : ふかした壁の裏側や上下に照明器具を仕込めば、ホテルのような柔らかい光の間接照明を楽しめます。

まとめ:「ふかす」は、機能をプラスする魔法の言葉
「壁をふかす」という言葉。
一見、部屋を狭くするネガティブな言葉のように聞こえるかもしれませんが、実は「機能性」や「デザイン性」をプラス(付加)するための、ポジティブな手法だったんですね。
もし現場で「ここは壁をふかしますね」と言われたら、「お、何か便利な機能や素敵なデザインを提案してくれるんだな」と期待してみてください。
言葉の意味がわかると、リフォームの打ち合わせがもっと楽しく、深く理解できるようになりますよ。
